
以前より疲れやすい。鉄分不足かもしれないけれど、病院へ行くほどなのか、それともサプリを試せばよいのか。迷っているなら、商品の鉄分の量を比べる前に、疲れと鉄分不足の関係から見ていきましょう。
鉄分が足りない人には、補うことが助けになる場合があります。ただ、疲れだけでは鉄分不足かどうかは分かりません。理由の分からない疲れが続いているなら、サプリの効き目で確かめようとせず、内科やかかりつけ医で相談しましょう。
鉄分不足で疲れやすくなる理由
鉄分は、血液中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」の材料です。鉄分が足りず、ヘモグロビンを十分に作れなくなると、全身へ酸素を届けにくくなります。これが鉄欠乏性貧血で、だるさや息切れにつながります。
一方、疲れの原因には睡眠不足やストレス、鉄分不足以外の病気もあります。「鉄分が疲れに関わる」という話だけでは、今の自分に鉄分が必要かまでは決まりません。
健診で貧血がなくても、鉄分不足はある?
あります。体には鉄分の蓄えがあり、それを使うことで、しばらくはヘモグロビンの量を保てます。そのため、貧血になる前に蓄えが減っていることがあります。
貧血の有無を見るヘモグロビンとは別に、鉄分の蓄えを調べる手掛かりになるのが「フェリチン」という血液検査です。健診で貧血を指摘されなかったとしても、それだけで鉄分不足がないとは言い切れません。ただし、検査値一つで原因を決めるのではなく、症状やほかの検査結果と合わせて判断します。
貧血はないものの鉄分の蓄えが少なく、疲れを訴える月経のある女性を対象にした試験では、鉄剤を飲んだ人のほうが、偽薬を飲んだ人より疲れの評価が改善しました。しかし、鉄分の蓄えが少ない献血者を対象にした別の試験では、鉄剤の点滴で疲れに差は出ていません。対象者や投与方法が違うため、同じ条件の比較ではありませんが、鉄分不足なら誰でも疲れが取れる、とまでは言えない結果です。
「貧血ではなかったから気のせい」と片付ける必要はありません。疲れが続くなら、その健診結果も持って相談できます。
鉄分不足を考える手掛かり
振り返りたいのは、月経の量や普段の食事です。月経で血液とともに鉄分を失うため、出血量が多い人は鉄分不足になりやすくなります。また、食事制限で食べる量が少ない、肉や魚をほとんど食べない、といった生活も相談時の手掛かりになります。ただし、当てはまるから鉄分不足だと決まるわけではありません。
食事で補うなら、肉や魚介類だけでなく、豆類にも鉄分が含まれます。植物性の食品に含まれる鉄分は、ビタミンCを含む食品と一緒に食べると吸収されやすくなります。例えば、豆の料理にブロッコリーやピーマンを添える組み合わせです。レバーなど一つの食品を無理に食べ続ける必要はありません。
ただ、食事を工夫すればすべて解決するわけでもありません。月経量が多ければ出血への対応が必要になることもあり、鉄欠乏性貧血の原因として胃や腸からの出血が見つかる場合もあります。鉄分を補うだけでなく、なぜ減ったのかを調べることにも意味があります。
受診の目安と、相談するときの伝え方
原因の分からない疲れが数週間続く、仕事や家事に支障がある、体重が意図せず減ったり息切れが出たりする場合は、サプリを試し続けず受診してください。
相談するときは、専門用語を覚えるより、生活の中で何が変わったかを伝えるほうが話しやすくなります。例えば「いつもの階段で息が切れるようになった」「帰宅すると家事ができないほど疲れる」といったことです。
いつから続いているか、月経量の変化、最近の食事制限も一緒に伝えましょう。健診結果と、飲んでいる薬・サプリの商品名や成分表示を持っていくと、相談の材料になります。「鉄分不足が気になっていますが、検査が必要でしょうか」と聞けば十分です。自分で検査項目や飲む量まで決めておく必要はありません。
鉄分を補うと決めたら
鉄欠乏性貧血と診断された場合は、治療に使う鉄剤や期間を医師と決めます。数日飲んで手応えがないから増量したり、少し楽になったからやめたりせず、血液検査での経過も見ながら続けます。胃の不快感や便秘がつらい場合も、我慢して飲み続ける前に処方した医師や薬剤師へ相談してください。
食事を補うためにサプリを使う場合も、すでに飲んでいるマルチビタミンなどに鉄分が入っていないか、成分表示を見てから選びます。鉄分は多く飲むほどよい成分ではなく、取り過ぎると吐き気や腹痛などの原因になります。甲状腺の薬など、鉄分と一緒に飲むことで効きにくくなる薬もあるため、服薬中なら飲み合わせも薬剤師に尋ねてください。
今、疲れの原因が分からないまま購入画面で迷っているなら、無理に商品を選ばなくて大丈夫です。鉄分が必要か、治療が必要かを医師と確かめてから、自分に合う補い方を選びましょう。